自己啓発やってみた

元中国人事マネージャーのつづるブログ

上海駐在の人事マネージャー。奥様は中国人。

人事は不要?現役人事が社員からの文句を整理しました

僕は上海で人事として働いています。

よく聞かれる質問は、
「人事は何やってるの?必要なの?」
です。

そこで、
「人事は何をやっているのか?」
「どんな苦情を言われるのか?」
これをまとめてみます。

尚、僕は日系企業で勤務しているため、日系企業ベースの内容になっています。

人事って何しているの?

そもそも人事の仕事って何でしょうか。
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人事担当者が知っておきたい、8つの実践策。7つのスキル

この図を元に説明しましょう。

1.人事制度

人に関わる様々な部分のルールを定めます。

「どんな人を評価して、昇進させて、給料をたくさんあげるのか」
「社員への福利厚生をどのようにするのか」

これらを決めています。

会社の特徴がはっきりする部分で、企業ごとの特長が色濃くでます。

例えば、日系メーカーでは、長く働いて欲しいので年功序列、退職金制度があります。

また転勤が多いことへの配慮として、社宅を出したり、実家帰省時の交通費を出しています。

2.人事管理

人が働くための勤務に関わる部分のサポートをしています。
残業時間管理、産休や労災、メンタルヘルスの対応、就業規則管理、給与対応などがあります。

残業させすぎるとブラック企業として叩かれるのは、企業に安全配慮義務があり、残業時間管理が求められているからですね。

3.人事フロー

入社してから退社するまでの人の運用に関わる部分です。
採用、人事異動、役職昇進や降格などにあたります。

参考ですが、日系企業では協調性をもったゼネラリスト(⇔スペシャリスト)が求められていました。

だから大企業は新卒を一括で大量に採用をして、大学時の専攻内容を考慮せずに総合職採用。

必要な初期教育を短期間でトレーニング。
後は適性や経営状況を見ながら頻繁に部署異動させます。

この前提でいくと、効率的な社員養成システムだったと言えますね

4.人材育成

知識、スキル教育、幹部教育や組織活性化の施策です。

会社にとって社員が成果を出すことが必要なのは当然ですよね。
そのために、市場の動向や将来を踏まえて、各ステージ(新入社員、リーダー、部長)に応じた研修カリキュラムを策定、実施します。

内部だけだとノウハウがない場合に、研修会社を使うこともあります。

5.経営理念

会社として大事にしたい理念を社内に伝えることで、一体感の向上や困ったときの判断の拠り所を作ることを目指します。

意思統一ができているチームが強いのはスポーツの世界を見れば分かりますよね。

具体的には、組織運用の効率化、社員のエンゲージメント(忠誠)の向上を狙います。

しかし現状の日本では、これが上手くできている会社はほとんどないです。
社内報を作ったり、朝礼で社訓を唱和するといった活動に終始する会社がほとんどですから。

人事不要論

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ここまで見ると、人事は必要そうに見えますよね。
でも、人事はいらないって言われてきてるんです。

それは、

社員のやる気が上がるための施策もできていなければ、
会社が今後も成長していくための人や組織の開発ができてないってことです

細かい話だと、給与計算などの単純業務は外注できるし、融通が聞かない、ルール作るの遅いとか言われますからね。

言いたい事は分かりますけど、言い分もあるんです。
100%全員が納得する答えはないから仕方ねぇだろと。

これは人事の宿命ですね。

実際に僕が言われたこと

話を分かりやすくするために、大事なお金に関わる話を例に出します。
「こんな会社やる気でない」「やってられない」という話です。

・「頑張っても頑張らなくても給料が変わらない」

・「営業が売上をいくら上げても、他の社員とそれほど給料が変わらない」

・「年をとった人はのんびり働いて高給、若者は激務で薄給っておかしくない?」

・「仕事効率化したら、残業代なくなって給料が下がる」

正論すぎて何もいえない。
というか、完全な解決策はありません。

僕自身も疑問に思ってますから。

1.頑張っても頑張らなくても給料が変わらない

答えは簡単。
日系企業は年功序列だから。ですよね。
(少しづつ変わってきてますけど、外資系と比べると差は小さい)

そもそも年功序列とは、若い頃の成果を年を取ってから貰う仕組みです。
加えて、ある程度昇進しなければ給料やボーナスの最大値と最小値の差が小さいです。

給与制度の構造上、どうしようもない。
そして最後まで残った社員が退職金をもらえるのです。

友人の会社は、入社10年で頑張っても頑張らなくてもボーナスで20万程度の差でした。
しかも、成果を出しすぎると、来年の目標が高くなり、未達成だと成績が下がるという。。。

「今年頑張ったら来年もっとやれ言われるからこれでええんや」は名言ですね。

利点をあげてみましょうか。
裏を返せば、頑張らなくてもある程度もらえる。
首にもなりにくい。

しかも年を取って働く気持ちが萎えても、若い世代が養ってくれる。

成果を出した報酬は将来へ先送りにする代償に、将来の成果はそれほど求められない。

いいですよね。

まぁ会社があればの話ですけど。

2. 営業が売上をいくら上げても、楽そうな他の部署の社員と給料が変わらない

なぜだか日系企業はやりません。

営業社員にはインセンティブをたくさんあげてもいいのではないかと思うんですが。

複合的な要因が絡まっているんでしょう。

・(精神性)一億総中流なんて言葉が流行るくらいに横並びが好きだから

・(他部門)人事、財務、法務など成果が測りにくい業務に対して不公平だから
など

外資系企業では、営業が利益をあげれば、日系企業よりかなりの報酬を支払っています。
ということは、人事制度上も方法はあるはずで、給料計算上も問題ないはず。

これはもう、経営方針としか言えないんでしょうね。
営業のモチベーションが上がって、もっと稼げば会社も他の社員も嬉しいはずなんですけどね。

3.年をとった人はのんびり働いて高給、若者は激務で薄給っておかしくない?

これは本当にその通り。でもね、いろいろと面倒くさいんです。

・(仕事)やらせる仕事ない

・(法律)一度給料をあげると下げにくい

・(法律)解雇できない

やらせる仕事がないのは、給料が高い人間で第一線から退いた社員(=年取った人)は、
えてして創造性やがむしゃらさがかなり低かったり、変にひねくれたりしているから。

「なんで部署を異動されないといけないのか」「出世もできないからのんびり働こう」といった感じ。

ただ本人の能力、性格だけが原因とも言えないこともあるんです。
会社の組織の力学で出世レースから落とされてしまったり、扱いにあまりに配慮がなかったりするなんて具合に。

こうなってくると、上司も扱いにくて、社史管理室のような陰の部署に異動させて他の社員と隔離するような会社もある。

給料を下げにくい、解雇できないのは日本の法律が原因。

給料を下げるなら降格規定を作る必要があるし、本人の同意を書面で残す必要がある。
しかも、降格規定があっても引き下げ金額が大きいと、裁判になるとストップをかけられることも。
そもそも、降格や降職には明確な根拠が必要であるが、「この人は仕事ができない」と証明するのは意外に難しい。

追い出し部屋を作ってみても、これまた訴訟になって負けることもある。

結果的に、これらの社員を放置して、若手に我慢と労働を強いることになってます。

4.仕事効率化したら、残業代なくなって給料が下がる

法律、社員の生活、伝統的な日系企業の考え方が混ざってます。

所定労働時間の超過分は残業代の支払義務がありますね。
社員側も残業したらお金もらえるので、残業を減らそうという考えが働きにくい。

そんな中でも業務を効率化した人間は、暇そうだからもっと仕事させるなんて話になる会社もある。
最悪、人事評価が下がって、昇給や昇進、ボーナスの査定が下がることもあったりで。

どうやら日本って、
適度な量の残業をして、
適度な業務スピードを保ちながら、
成果を出すことが求められる社会なんですね

どうしましょうか。日系企業

働き方改善や人事制度の変更をするには、トップが本気でやらないと無理です。

会社事業への知識はもちろん、人事制度や法律への理解も求められます。
やりきる実行力や社内批判にも耐える精神力も必要。

優遇する人とそうでない人の待遇を露骨に変更できるのか。
そのためには、欧米企業のようにUP or OUTのような社風や仕組みは必要ですよね。

なんだか我ながらつらい話ですが、取り組んでいる企業も少しづつ出てますよね。

でも、儲かっていない企業だと何も変えられないですね


変えるにもお金がかかります。
悲しいけど。

稼がないと会社は続かないんですよね。当然ですけど。
ムチだけ振るっても、アメがないと誰もついていきませんから。

儲かってない企業は、日々の稼ぎで精一杯で、業績悪化すればリストラや業務効率化が始まります。


そして今日もまた、人事の葛藤が続きます。