自己啓発やってみた

元中国人事マネージャーのつづるブログ

現役人事。奥様は中国人。

若者がすぐ辞めると愚痴るおっさんは、生まれ変わっても同じ会社で働くのだろうか

僕は日本と中国で人事の経験がありますが、「若者がすぐ辞める」と言う50~60代の先輩方に違和感を感じています。

「本当にすぐ辞めるのか」
「若者だけが悪いのか」

そう思い調べてみました。

最近の若者は本当にすぐ会社を辞めるのか?

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厚生労働省 新規大学卒業者の産業分類別卒業後の離職率推移より

これは厚生労働省が調査している新卒で3年以内の離職率の推移です。

調べて驚きましたが、おじさん世代と若者世代の新卒時代の離職率は、あまり変わらないんですよ。

・昭和62年世代(現在52歳)⇒28.4%
・平成25年世代(現在26歳)⇒31.9%

むしろ、人数で言うとおじさん世代のほうが多いのではないでしょうか。

今も昔も若者はすぐ辞めるんですね。

日本の若者が辞める原因

次に若者が辞める理由について調べました。

 1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%) 
 2位:労働時間・環境が不満だった(14%) 
 3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%) 
 4位:給与が低かった(12%) 
 5位:仕事内容が面白くなかった(9%) 
 6位:社長がワンマンだった(7%) 
 7位:社風が合わなかった(6%) 
 7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%) 
 7位:キャリアアップしたかった(6%) 
10位:昇進・評価が不満だった(4%)

リクナビNEXTより

 

ちょっと分かりにくいので、ざっくり分類します。

・組織と合わない(49%)
・お金が安い  (22%)
・キャリアが不安(15%)
・労働時間も長い(14%)

これって、おじさん世代作った組織や社会は、若者世代とは合わないということですよね。

僕はアラサー世代なので、今の新卒に肩入れしちゃいますが、息苦しさや合わないと感じたことは多いですよね。

方針や施策を決める時のブラックボックスや謎のしきたりが多く感じます。

提案や上申が却下され続け、「お偉いさん方でよろしくやっておいたら?」なんて思う若手も多いんじゃないですかね。

これは辞めた人の意見だけですが、心の中で感じている人も相当数いると予想できるのではないでしょうか。

日本のオモシロおかしな慣習

日本の組織は若者にとって魅力的ではないのでしょう。

なぜこんなことになっているのか。

参考意見として、中国人の同僚におかしいと思う点を聞いてみました。

残業が多い、長い

中国では、毎日遅くまで働く人間は仕事ができないと言われます。
私が知る限り、中国の会社で毎日21とか22時まで残業してるなんて極めて珍しいです。
仕事ができた人から帰りますし、明日すぐできることをわざわざ今日終わらせたりしません。

この違いは、日本人の過剰品質にあります。
・発生率がかなり低いリスクまで事前に潰しこむ
・どれも大差がないことを綿密に調査する
・それほど誰も読まないレポートを作成する

中国人は、本当に必要とは思えないこと、費用対効果が低いことはやりたがりません。
仮に発生したら、それから対処します。

これは日本はお客が偉くクレームに答えなければならない圧力がある環境も一因でしょう。
日本は知らず知らずのうちにお互いがお互いの揚げ足をとるような社会になっています。

謎の身分制度がある

中国の日系会社で多いのは、トップの日本人が数年おきにやってくるというパターン。
その日本人トップの下の部長や課長も日本人も定期的に入れ替わる。

中国人というだけで出世の上限が見えているという現象。
これは「ガラスの天井」と言われています。

日系企業ではこのことは既に知られていて、現地化(現地のことは現地に任せる)が進められていますが、うまくいってません。
欧米企業ほどのチャンスも待遇もない会社に残ってくれるのは、ゆるくてクビがない日本企業に染まってしまった社員がほとんど。

出すもの出さずに要求だけするってのは不合理に思えますね。

日本国内を見ても、身分制度は残っています。
派遣社員は正社員と同じ仕事をしても給料安かったり、子会社採用の社員は本社採用の下で働かされますからね。

日本は「採用時の能力や運だけでチャンスや処遇が決まってしまう」社会なんですね。

転勤が強制される

中国では本人の同意なしに勤務地を変更できません。
従って転勤は一般的ではありません。

日本のような転勤しなければ、転勤の事例拒否のため退職されられるなんて話はありえません。
結婚して家を買うと転勤させるなんてエグい国は他にあるんでしょうか。

人材の有効活用、組織活性化、育成のためには効果的な面もありますが、
社員の生活や家族関係にも相当な負担を強いるシステムとも言えます。

おじさん世代と若者世代の価値観のずれ

「一ヶ月で靴をすり減らして買い換えたぐらいに、必死で営業して結果出した」
「超短納期の仕事を徹夜でやりきったことが認められて、出世した」

こんな話を聞いて憧れる若者って珍しいですよ。

若者の仕事への責任感が足りないとか、甘いとかあるかもしれませんが、昔と違って、変化のスピードが速く、大きな経済成長がない社会だから、お金とか達成がモチベーションにならなくなってますから。

若者世代は仕事も家族や余暇も大切なんです。

このように考えると、「最近の若者は」とか、「優秀な人が来ない」とかいう人がいますけど、それは表面的な話しかできていませんよね。
『優秀な若者が能力を発揮する気が持てない』、『もしくは仕事を覚える前に辞めてる』ケースも多いはず。

女性の管理職推進や出産後にすぐ辞めてしまうのも根っこは同じ。

辞めたいのは若者だけなのか?

調べるほどに日本の会社は社員にモチベーションを高める仕組みではないことが分かりました。
かなり切ないですけど。

と同時に、若者世代だけが辞めたいのか?という疑問が浮かんできました。
私がおじさんでも、こんな会社も嫌ですよ。

次に調べたのは「エンゲージメント」。
これは「社員が企業に対して、どれぐらいの愛着やコミットメント、忠誠心、士気や誇りを感じているか」を意味するものです。
この気持ちを持つ社員が多ければ多いほど、企業の競争力は増し、高い利益を生み出すことができるという研究結果も出ています。

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ギャラップ社のエンゲージメント調査より

・2011-2012年の調査
・対象は142か国、20万人以上
・日本で愛着やコミットがあると答えた人の割合は先進国中、最も低い7%


アメリカなんて訴訟国家で突然クビになる社会なのに、やる気ありますよね。
中国は家族大事で自己主張が多くて不満ありそうなのに、日本と同じくらい。

いずれにしても、おじさん世代も会社好きじゃないことはよく分かりました。

例えば、おっさんが新卒に若返ったとして、「若者がすぐ辞めるのは本人の責任」と言えるのだろうか?

おじさん世代に問いたいのは、
「今日から職場の一番下っ端と入れ替わったとしたら、頑張れるか?」ということです。

給料も減って、昇進も頭打ちで、また一から理不尽を受ける新卒社員と代われますかね?

もちろん、会社は稼げなければ潰れてしまうことなんて百も承知なんです。
若者もそんなにバカではないし、現実は見てます。
知ってても耐えられないからこそ、若者はだまって会社を去るんです。

ただ悲しいことに、若者の離職率が高いことで会社の継続的な発展が成り立たなくなることもまた事実なんですよね。

「今の若者は~」なんて若者だけに責任を擦り付けてもどうしようもないですよ。ほんとに。

離職率を改善したいのなら
小手先の対策よりも、どうしたら働きたくなる会社になるのかをおっさん連中が真摯に考えてみることがスタートだと思います。
地道に自分達も嫌なルールを一つ一つ修正していくことが本質的な解決に繋がります。

これはコンサルに依頼してもどうしようもなくて、会社をよく知り決定権があるおっさん達にしかできないことですよ。